会社員が通常加入している厚生年金保険は、会社で自動的に年末調整で控除してくれますが、国民年金保険料を支払った場合、その分も追加することができます。
例えば、20歳になった学生の子供の国民年金保険料を親が払ってあげた場合や、今年入社したけど、入社前に支払っていた国民年金保険料などは年末調整で保険料控除が可能です。
地味ですが意外と控除額が大きくなる社会保険料控除は侮れません。
保険料控除申告書の「社会保険料控除」欄の活用方法や、証明書の必要性の有無、書き方について確認しておきましょう。
年末調整では「年金保険の掛金」を控除できる
年金には大きく分けて「国民年金保険」と「厚生年金保険」の2種類があり、どちらも控除できます。
ただし、ほとんどの会社員の方が加入しているのは「厚生年金保険」で、給料天引きで保険料を支払っていると思います。
この厚生年金の分については、会社が自動的に社会保険料控除していますので、年末調整時に改めて記入する必要はありません。
年末調整の保険料控除申告書で記入すべきは「国民年金保険料」のほうになります。
子供・学生の国民年金を親が払ったら年末調整できる
もし、会社員の方が「国民年金保険料」を払った場合には、年末調整の「保険料控除申告書」に記入することでその分も控除することができるんです。
会社員の方は一般的には厚生年金だけなので、国民年金保険料も払うことはありませんが、以下のようなケースに当てはまっている方はいませんか?
[icon image="check-b-r"]【会社員の方でよくあるケース】- 学生であるお子さんの分の国民年金保険料を親が肩代わりした場合。
→親の年末調整で控除可能 - 今年の新入社員で、在学中(今年の3月まで)自分で国民年金保険料を払っていた場合。
→本人の年末調整で控除可能 - 自分の学生時代、学生納付特例制度で支払っていなかった国民年金保険料を社会人になって今年追納した場合。
→本人の年末調整で控除可能 - 今年の中途入社で、入社前は無職だったので、自分で国民年金を払っていた場合
→入社前の分はこの欄で控除可能
このような場合なら、家族の国民年金保険料でも、入社前に払ったものでも、とにかく自分が今年負担した分は申告OKなんですよ。
申告できるかどうかのポイント
年末調整で申告できる国民年金保険料にあたるかどうかは「いつ払ったか?」と「誰の分を払ったか?」がポイントになります。
かつ
「あなたか、あなたと生計を一にする親族が負担することになっている保険料」
なら、控除申告できます。
「いつの分か?」ではなく「いつ払ったか?」が基準になっています。
ですので、いくら今年分の国民年金でも、今年中に払わなかったら控除できません。
逆に過去2年分をまとめて今年払ったというなら、今年はその2年分を控除できます。
[icon image="point3-2-g"]「誰の分を払ったか?」あなた自身のための国民年金保険料なら当然申告できますよね。
さらに、「生計を一にしている」=「あなたが主な生活費を負担している」親族の分ならOKです。
同居は必要条件ではありませんので、例えば、自宅を離れて1人暮らししている大学生でも、あなたが家賃等の生活費を負担しているなら、その子の分の国民年金保険料もOKです。
国民年金保険料控除の際、証明書は必要?
国民年金保険料と国民年金基金の掛金を申告・控除するときには、各機関が発行する証明書の添付が必要です。それ以外の社会保険料については証明書を添付する必要はありません。
国民健康保険料を申告する場合も不要ですよ。
・社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(ハガキ)
・領収書(領収印のあるもの)
のどちらかの添付が必要です。
お子さんの国民年金保険料を肩代わりした場合は、お子さんあてにハガキが届きますので、それを添付してください。
国民年金の控除証明書が年末調整に間に合わない場合は?
日本年金機構から控除証明書ハガキが送付されるタイミングは、その年の9月末日までに納付した方は11月初旬に送付されます。
10月以降に納付した場合はハガキは翌年2月初旬になりますから、当然今年の年末調整には間に合いません。
じゃあ年末調整の時どうすればいいか?対処方法は2つあります。
ひとつは、手元に領収印のある領収書(原紙)があれば、それを添付すればOKです。
もう一つは、年末調整は国民年金保険料の控除なしで処理して、翌年3月の確定申告で、国民年金保険料控除を追加して申告することができます。
もちろん確定申告にも領収書もしくは控除証明書ハガキの添付は必要です。
年末調整での国民年金保険料の控除額はいくら?
保険料控除申告書で申告できる社会保険料とは、会社員が天引きで支払っている自分の社会保険料以外で、以下のものが対象になります。
- 国民健康保険の保険料や国民健康保険税
- 健康保険、厚生年金保険や船員保険の保険料(任意継続被保険者の負担すべき分を含む)
- 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料(後期高齢者医療制度の保険料)
- 介護保険法の規定による介護保険の保険料
- 国民年金の保険料や国民年金基金の加入員として負担する掛金
- 農業者年金の保険料や雇用保険の労働保険料
国民年金保険料を含め、ここで申告できる保険料は「全額」が控除対象になります。
保険料控除申告書の書き方
保険料控除進行所への記入方法は簡単です。
注意点としては、「保険料を負担することになっている人」というのは、「本来払うべき人」という意味ですので、自分の分の年金なら自分の名前、お子さんの国民年金保険料を肩代わりした場合は、お子さんの名前を書きます。
支払った金額の全額が控除対象ですので、金額は証明書に書いてある金額をそのまま記入します。
同じ「年金」でも、確定拠出年金や個人年金保険は記入場所が違う
確定拠出年金とか、生命保険会社で契約する個人年金保険など、「年金」と名のつくものが他にもありますが、これらも年金の一種なので、控除できるんです。
でも、記入する場所や控除割合などが違うので要注意です。
保険料控除申告書の他の欄の書き方についてはこちらの記事を参考にしてください。
https://kaiteki-blog.com/4208.html
社会保険料控除 まとめ
社会保険料控除は、うっかりすると忘れがちなんですよね。
でも、生命保険料控除のような控除上限がなく、全額が控除可能なので、もし該当するとなると結構な金額になることが多いので、忘れずに申告したいですね。
※この記事の内容は更新日時点のものですので、法改正などで制度が変更されている可能性もあります。
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